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NO.112
#家づくりの基礎知識
キッチンの形(レイアウト)の選び方
10月も後半に入り、朝晩はひんやりとした空気を
感じるようになってきました。
今週の10月23日(金)は、
二十四節気のひとつ「霜降(そうこう)」です。
霜降とは、朝晩の冷え込みで
霜が降り始める頃という意味です。
山のほうからは紅葉の便りも届きはじめ、
週末に家族でお出かけされる方も多いのではないでしょうか。
また、10月の終わりといえばハロウィンです。
かぼちゃのお菓子を親子で作ったり、
おうちで小さなパーティーを開いたり。
最近は、家で季節のイベントを楽しむご家庭も増えています。
そんなとき、意外と差が出るのがキッチンです。
「子どもと一緒に料理したいのに、狭くて並んで立てない」
「料理中、リビングにいる子どもの様子が見えない」
こうした声は、実は家を建てたあとによく聞かれます。
キッチンは、毎日何度も立つ場所です。
だからこそ、設備の性能だけでなく
「どんな形のキッチンにするか」がとても大切になります。
さて、今回の家づくりの基礎知識は、
「キッチンの形(レイアウト)の選び方」
についてお伝えします。
キッチンを考えるとき、多くの方がまず気にされるのは、扉の色や食洗機などの設備です。
しかし、それと同じくらい暮らしやすさを左右するのが、キッチンの「形」です。
キッチンの形によって、動きやすさや収納の量、家族との会話のしやすさまで変わってきます。
では、どのようなことを考えてキッチンの形を選べばよいのでしょうか。
キッチンの形のことを「レイアウト」と呼びます。シンク(流し)やコンロ、作業台をどのように並べるかという配置のことです。
たとえば、料理をするのはほとんど1人なのか、夫婦や親子で一緒にキッチンに立つことが多いのかによって、適したレイアウトは変わります。
また、料理中にリビングの子どもを見守りたいのか、それとも料理に集中したいのかも、キッチン選びの大切なポイントです。
つまり、正解のキッチンは一つではありません。「わが家の動き方に合っているかどうか」を基準に選ぶことが大切です。
キッチンにはさまざまなレイアウトがあります。それぞれの特徴やメリット、注意点を知り、家族の暮らしに合った形を選びましょう。
I型キッチンは、シンクとコンロが一列に並んだ、もっともシンプルな形です。
壁に向けて設置すると省スペースで、費用も抑えやすいのが特長です。一方、横に長くなると左右の移動が増えることがあるため、シンクとコンロ、作業台の配置を工夫する必要があります。
(画像提供/クリナップ)
L型キッチンは、作業台がアルファベットの「L」の形に曲がっているレイアウトです。
シンクとコンロの間の移動が少なく、作業スペースも広く確保できます。ただし、コーナー部分は使いにくくなりやすいため、収納の仕方や使い方をあらかじめ考えておくことが大切です。
(画像提供/Panasonic)
ペニンシュラキッチンは、片側だけが壁についた対面式のキッチンです。「ペニンシュラ」とは「半島」という意味です。
リビングを見ながら料理ができるため、家族とコミュニケーションを取りやすいのが魅力です。アイランドキッチンと比べて設置スペースを抑えやすく、対面式のキッチンを取り入れたいご家庭にも適しています。
(画像提供/LIXIL)
アイランドキッチンは、壁から離れ、島(アイランド)のように独立した形のキッチンです。
左右どちらからも回り込めるため、家族で一緒に料理を楽しみやすく、開放感のある空間をつくれます。
一方、広い設置スペースが必要になるほか、調理中のにおいや油はねへの配慮も欠かせません。リビングとのつながりや換気設備、収納の配置も含めて検討しましょう。
(画像提供/TOTO)
II型キッチンは、シンクとコンロを前後2列に分けて配置するレイアウトです。セパレートキッチンとも呼ばれます。
振り返るだけで作業できるため、移動距離を短くしやすいのが特長です。
ただし、シンクとコンロの間の通路に水滴や油が落ちやすい点には注意が必要です。通路の幅や床の汚れ対策も考えておきましょう。
(画像提供/タカラスタンダード)
キッチンの使いやすさを考えるときに役立つのが、「ワークトライアングル」という考え方です。
ワークトライアングルとは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3つを結んだ三角形のことです。この3つの位置関係を整えることで、調理中の移動を効率化しやすくなります。
一般的には、三角形の3辺の合計が3.6~6.0m程度に収まると、動きやすいといわれています。
- 距離が短すぎる場合:作業スペースが窮屈になり、動きにくくなることがあります。
- 距離が長すぎる場合:シンクやコンロ、冷蔵庫の間を何度も行き来することになり、負担が増えることがあります。
間取り図を見るときは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3か所に指を置いてみるだけでも、実際の動き方をイメージしやすくなります。
ただし、ワークトライアングルの適切な寸法は、キッチンの形や収納、家族の使い方によっても変わります。数値だけでなく、実際の作業のしやすさも確認しましょう。
キッチン本体と背面収納の間にある通路の幅も、使いやすさを左右する重要なポイントです。
一般的な目安として、1人で作業する場合は90~100cm、夫婦や親子で並んで作業する場合は100~120cm程度が挙げられます。
たとえば、ハロウィンのお菓子づくりで子どもと並んで立つ場面を想像してみてください。
通路が狭いと、後ろを通るたびに「ちょっとごめんね」と声をかけることになります。反対に、広すぎると振り返る距離が長くなり、かえって使いにくく感じることもあります。
家族の人数や料理のスタイル、冷蔵庫や食器棚の扉を開けたときのスペースも考慮しながら、適切な通路幅を決めましょう。
キッチンの作業台の高さも、毎日の使いやすさに大きく影響します。高さが合っていないと、調理中に腰や肩に負担がかかることがあります。
よく使われる目安が、「身長÷2+5cm」という計算式です。
たとえば、身長160cmの方なら、作業台の高さは85cmが目安になります。
システムキッチンの多くは、80~95cm程度の範囲で、5cm刻みの高さを選べるようになっています。ただし、選択できる高さはメーカーや商品によって異なります。
計算式はあくまで目安です。実際には、使う方の体格や調理スタイルによって適切な高さが変わります。
ショールームで実際にキッチンの前に立ち、包丁を使う動作や鍋を洗う動作を試してみるのがおすすめです。毎日の家事を無理なく続けられる高さを選びましょう。
おしゃれで開放的なアイランドキッチンに憧れる方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際に使い始めてから、次のような悩みが生じることもあります。
- リビングから手元が丸見えで、片付けが追いつかない。
- 調理中の油はねやにおいがリビングまで広がってしまう。
- 冷蔵庫や食器棚が遠く、調理中の移動が多くなる。
こうした失敗を防ぐには、デザインだけでなく、日々の使い勝手まで考えてキッチンを選ぶことが大切です。
たとえば、手元を隠す立ち上がり壁を設けたり、コンロ側だけを壁につけたりする方法があります。開放感を保ちながら、手元の見え方や油はねにも配慮できます。
また、対面キッチンを選ぶ場合も、冷蔵庫や食器棚が遠いと使いにくくなることがあります。
キッチン本体だけでなく、冷蔵庫・食器棚・ゴミ箱の置き場所まで含めて計画することが、使いやすいキッチンづくりのポイントです。
キッチンの間取りを考える際、意外と忘れがちなのがゴミ箱の置き場所です。
家庭ごみを分別するために3~4個のゴミ箱を置くことも多く、十分なスペースを確保していないと、あとから置き場所に困り、通路をふさいでしまうことがあります。
そのため、キッチンのレイアウトを決める段階で、ゴミ箱の数や大きさ、分別方法、ゴミ袋の交換のしやすさまで考えておくと安心です。
キッチンの収納を考えるなら、パントリーの設置も検討してみましょう。
パントリーとは、食品や日用品のストックをしまっておく収納スペースのことです。まとめ買いが多いご家庭や、秋の味覚をたくさんいただく機会があるご家庭では、特に重宝します。
パントリーを設ける場合は、収納量だけでなく、キッチンからの距離や出し入れのしやすさも大切です。よく使う食品や調味料をすぐに取り出せる配置にすると、日々の家事を効率化しやすくなります。
キッチンの形は、完成してから変更するのが難しい部分です。
なぜなら、キッチンのレイアウトによって必要な広さや、水道・換気設備の配管やダクトの位置が変わるからです。
そのため、間取りを決めてからキッチンを選ぶのではなく、間取りを考える段階でキッチンの形も一緒に検討することが大切です。
たとえば、「アイランドキッチンにしたいけれど、この広さで設置できるのか」といった疑問も、早めに住宅会社に相談すれば、間取り全体のバランスを考えながら検討できます。
キッチンの広さだけでなく、リビングとのつながりや収納スペース、家族が通る動線も含めて計画することで、暮らしに合った住まいを実現しやすくなります。
キッチンの形を選ぶときは、「どの形が流行っているか」よりも、「キッチンでどんな時間を過ごしたいか」を考えることが大切です。
家族で並んで料理を楽しみたいのか、子どもの様子を見守りながら手早く家事を済ませたいのかによって、適したキッチンの形は変わります。
暮らしのイメージがはっきりすると、わが家に合ったキッチンのレイアウトも自然と見えてきます。
迷ったときは、モデルハウスや住宅見学会で実際にキッチンに立ってみるのがおすすめです。
通路の広さや作業台の高さ、リビングとの距離感は、図面だけでは分かりにくいものです。実際に立って動いてみることで、毎日の使い勝手を具体的にイメージできます。
ぜひ、ご家族みんなでキッチンの使い心地を体感し、これからの暮らしに合った形を見つけてみてください。
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