• 暖房をつける前に確認したい、冬の快適な家づくり

    NO.110

    #家づくり

    暖房をつける前に確認したい、冬の快適な家づくり

    暖房をつける前に確認したい、冬の快適な家づくり

    9月もいよいよ最後の週となりました。
    まだまだ日中は暑さを感じる日もありますが、朝晩は少しずつ過ごしやすくなり、季節が夏から秋へ移り変わっていることを感じるようになりましたね。
    夕方になると日が暮れるのも少し早くなり、虫の声が聞こえてきたり、スーパーに並ぶ食材が秋らしくなったり。
    少しずつですが、暮らしの中にも秋の気配が増えてきました。
    9月は、二十四節気でいう「白露」や「秋分」を迎える月です。
    「白露」は、草花に朝露がつき始める頃を意味します。
    まだ暑さが残っていても、朝晩の空気に少しずつ秋らしさを感じる時期です。
    そして9月下旬には「秋分」があります。
    昼と夜の長さがほぼ同じになる日として知られ、秋分を過ぎると少しずつ夜の時間が長くなっていきます。
    「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉もあるように、秋分の頃を境に、これから少しずつ涼しさが増していきます。
    また、9月は秋の味覚を楽しめる季節でもあります。
    さんま、栗、さつまいも、きのこ、ぶどう、梨など、秋ならではの食材が少しずつ店頭に並び始めます。
    暑い夏には冷たい料理が中心だった食卓も、これからは炊き込みご飯や煮物、温かい汁物などが恋しくなってきます。
    季節が変わると、家の中での過ごし方も少しずつ変わります。
    夏の間はエアコンの効いた部屋で過ごすことが多かったご家庭も、窓を開けて秋の風を感じたり、家族でゆっくり食事を楽しんだりする時間が増えてくるのではないでしょうか。
    そして、今はまだ「暖房なんて必要ない」と感じる9月ですが、実は冬の住まいについて考え始めるにはちょうどよい時期でもあります。
    本格的に寒くなってから慌てて準備するのではなく、今のうちから住まいの状態を確認しておくことで、冬をより快適に迎えることができます。
    そこで今回は、
    「暖房をつける前に確認したい、冬の快適な家づくり」
    についてお話ししたいと思います。
    暖房をつければ暖かくなる。
    もちろん、それは間違いではありません。
    しかし、暖房器具の性能だけで冬の快適さが決まるわけではありません。
    暖めた空気をどれだけ逃がさないか。
    外の冷たい空気をどれだけ室内に伝えにくくするか。
    そして、家の中の温度差をどれだけ小さくできるか。
    こうした住まいそのものの性能も、冬の暮らしやすさに大きく関係しています。
    まだ暖房を使わない今だからこそ、これからの冬に備えて住まいについて考えてみましょう。

冬になると、

「暖房をつけても、なかなか部屋が暖まらない」

「エアコンの設定温度を上げても足元が寒い」

「窓の近くに行くとひんやりする」

「朝、布団から出るのがつらい」

こんな経験をしたことはありませんか?

実はこうした冬の「寒い」という感覚には、暖房だけでなく、家の断熱性能や窓の性能、空気の流れなどが関係しています。

暖房を使って部屋を暖めても、その熱がどんどん外へ逃げてしまえば、いつまで経っても快適な温度になりません。

せっかく暖めた室内の空気を、なるべく長く室内にとどめることが、冬の快適な暮らしには大切です。

そこで重要になるのが「断熱」です。

断熱とは、簡単にいうと、外の暑さや寒さが室内に伝わりにくくすること。そして、室内の快適な温度を外へ逃がしにくくすることです。

断熱性能が高い住宅では、暖房で暖めた室内の熱が逃げにくくなるため、暖房を効率よく使いやすくなります。

反対に、断熱性能が十分でない住宅では、暖房で一生懸命暖めても、外へ熱が逃げやすくなります。

そのため、「暖房を強くする」という方法だけではなく、「暖房でつくった熱を逃がしにくくする」という考え方が重要なのです。

家の中で、冬に寒さを感じやすい場所のひとつが窓です。

窓は壁と比べると、外気の影響を受けやすい部分です。

たとえば、暖房をつけてリビングを暖めているのに、窓の近くに行くと冷気を感じる。これは、窓から冷たい外気の影響を受けているためです。

そのため、冬の快適な家づくりでは、壁や床だけでなく「窓」についても考えることが大切です。

窓サッシやガラスにはさまざまな種類があり、それぞれ断熱性能などに違いがあります。

家づくりを検討する際には、「窓は大きければ大きいほど良い」と単純に考えるのではなく、「その窓を設ける場所に、どのような性能が必要なのか」という視点で考えてみましょう。

大きな窓からたっぷり光が入る開放的なリビングは魅力的ですが、冬の寒さや夏の暑さについても合わせて考える必要があります。

デザインだけでなく、快適性とのバランスが大切です。

カーテンには、インテリアとしての役割だけでなく、光を遮ったり、熱を逃がしにくくしたりする機能を持った商品もあります。

特に冬場は、厚手で目の詰まった生地など、保温性を考えたカーテンを取り入れることで、窓からの冷気を感じにくくする工夫ができます。

また、カーテンを窓にきちんと合わせることもポイントです。

窓のサイズに対して短すぎるカーテンでは、せっかくの機能を十分に活かせない場合があります。

床まで届く掃き出し窓なら、床とのすき間をできるだけ小さくするなど、窓の大きさや設置場所に合わせて選ぶことが大切です。

ただし、カーテンだけで住宅全体の断熱性能を補えるわけではありません。

カーテンはあくまで住まいを快適にするための一つの工夫。住宅の断熱性能や窓の性能と合わせて考えることが大切です。

本格的に寒くなってから慌てて暖房を使い始めるより、今のうちに確認しておきたいことがあります。

夏の冷房で活躍したエアコンは、フィルターにホコリがたまっていることがあります。

暖房を使い始める前に、一度フィルターを確認しておきましょう。

汚れていれば掃除をして、快適に使える状態にしておくと安心です。

また、長期間使っていなかった暖房器具は、使用前に取扱説明書などを確認し、安全に使える状態か確認しましょう。

窓やサッシの周辺にすき間がないか、カーテンが窓に合っているかなどもチェックしてみましょう。

「去年の冬はここが寒かった」という場所を思い出してみるのもおすすめです。

今のうちに確認しておけば、寒くなってから慌てずに対策を考えることができます。

冬になると、寒いからという理由で換気を避けたくなることがあります。

しかし、快適な室内環境を保つためには、換気も大切です。

最近の住宅では、計画的に換気を行う仕組みが取り入れられているケースもあります。

暖房と換気を上手に組み合わせ、室内の空気環境にも目を向けましょう。

冬の住まいで考えておきたいのが、部屋ごとの温度差です。

リビングは暖房で暖かいのに、廊下に出ると急に寒い。さらに洗面所や脱衣室、トイレなどはもっと寒い。このような経験をされている方も多いのではないでしょうか。

人は、暖かい場所から寒い場所へ移動すると、急激な温度変化を感じることになります。

そのため、冬の快適な家づくりでは、「リビングだけを暖かくする」という考え方ではなく、「家の中の温度差をできるだけ小さくする」という考え方も大切です。

断熱性能を高めることは、単に「暖房がよく効く家」にするだけではありません。

家の中の温度環境を整え、廊下や洗面所なども含めて暮らしやすい住まいを考えることにつながります。

冬になると、「部屋の上のほうは暖かいのに、足元が寒い」と感じることがあります。

暖かい空気は上に移動しやすいため、暖房で暖めた空気が部屋の上部にたまり、床付近がなかなか暖まらないことがあります。

また、床や窓からの冷気の影響を受けている場合もあります。

そのため、暖房器具の設定温度だけを見るのではなく、次のような複数の要素を合わせて考えることが大切です。

  • 断熱性能
  • 窓の性能
  • 床の冷え
  • 空気の循環

サーキュレーターなどを使って室内の空気を循環させる方法もありますが、住宅そのものの断熱性能が低ければ、暖房効率には限界があります。

これから家を建てる方には、間取りを見るときに「冬の朝」を想像してみることをおすすめします。

朝起きて寝室から出たとき、廊下はどのくらいの温度なのか。

洗面所で顔を洗うとき、寒さを感じないだろうか。

リビングへ移動したとき、家族が快適に過ごせるだろうか。

そして夜、入浴するために脱衣室へ移動したとき、どんな環境になっているだろうか。

間取り図だけを見ていると、こうした温度環境はなかなかイメージできません。

だからこそ、住宅会社に相談するときには、次のようなことを具体的に聞いてみるとよいでしょう。

  • 冬はどのような温度環境になるのか
  • 断熱性能はどのように考えているのか
  • 窓はどのような性能のものを採用しているのか

断熱性能の話をすると、「暖房費が安くなるの?」という点が気になる方も多いと思います。

もちろん、暖房でつくった熱を逃がしにくくすることは、暖房を効率的に使うことにつながります。

しかし、冬の住まいを考えるときには、光熱費だけでなく「暮らしやすさ」という視点も大切です。

  • 朝、布団から出るのがつらい
  • 廊下に出ると寒い
  • お風呂に入るのが億劫になる
  • 窓の近くが冷える

こうした毎日の小さなストレスを減らすことも、住まいの性能が担う大切な役割です。

家は何十年と暮らしていく場所だからこそ、建てるときのデザインや価格だけでなく、実際に暮らし始めた後の快適さについても考えておきたいものです。

最後に、これから家づくりを考える方が確認しておきたいポイントをまとめます。

  • 住宅全体の断熱性能はどうなっているか
  • 窓やサッシにはどのような性能のものを使っているか
  • 暖房で暖めた空気を逃がしにくい間取りになっているか
  • リビングだけでなく、廊下や洗面所などの温度差についても考えているか
  • 窓の大きさや配置と断熱性能のバランスはどうか
  • カーテンなど、室内でできる工夫も取り入れられるか
  • 換気と暖房をどのように両立させるか

こうしたことを一つひとつ確認していくと、「暖かい家」という言葉を、より具体的にイメージできるようになります。

冬は、住宅の性能を実感しやすい季節です。

だからこそ、まだ暑さが残る9月のうちに、昨年の冬の暮らしを振り返ってみるのもおすすめです。

「ここが寒かった」「窓際が冷たかった」「朝の脱衣所がつらかった」

そんな経験があれば、それはこれからの家づくりを考えるうえで大切なヒントになります。

今はまだ暖房を使わない時期だからこそ、少し先の冬を想像してみる。

そして、これから家を建てる方なら、

「冬にどんな暮らしをしたいのか」

「どんな家なら、家族が快適に過ごせるのか」

を考えてみてはいかがでしょうか。

本格的な寒さがやってくる前に、今から少しずつ準備を始めておくことで、より快適な冬を迎えることができます。